かき氷


 
 夏の暑さというのは、どうにも思考回路を鈍くさせるらしい。


 「頭がキーンとする」
 「……恋の病か!」
 「何故そうなる!」


 魁斗がどこからか拾ってきたかき氷機。そんな胡散臭い、いや、それ以前に衛生的にどうなのか保証されていないものをどうするのか聞いたが、予想そのままの反応が返ってきた。
 そこからの魁斗の行動は早く、氷と入れ物、味付けシロップまで用意出来たのはきっと蒼雷あたりが悪ノリしたのだろう。それでなければ梨理だ。あの辺りはたちが悪い。


 「俺様がウルトラハイパービッグかき氷を作ってやる!」


 と意気込んで、ものの見事に4回は失敗。そのたびに失敗作は紅斗の胃の中へと入る。
 モモン味、クラボ味、ナナシ味、オレン味。味に困らないがそろそろ胃と頭のほうが困ってきていた。


 「頭いってェ……」
 「次だ、次にようやく完成するぜ!」


 一般的に冷たいものを一気に食べると『かき氷頭痛』やら『アイスクリーム頭痛』と言われる現象が起こるが、そんな単純にして難しい話をこの馬鹿二人が知るはずもなく、時間だけが淡々と過ぎていった。


 最終的にこのやりとりはあと2回続いた後、氷がなくなったのでお終い、という悲しい最後になったという。



 2011.08.09


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