ゲンティアナ・スカブラ sideB 今日、俺は亮さんに別れをつげようと思う。 雨は予定通り降ったんだ。 自分から振る。 こんな行動はできればしたくなかった。 でも、いつかけじめをつけないと、きっと俺はこの場所を捨てられなくなるから。 俺は、亮さんと出逢えて本当によかった。 出逢いかたこそ良いものではなかったけれど、 それでも野球が好きなのも、この想いも、全部亮さんと出逢えて見つけられたものだから。 本当に出逢えてよかった。 (…言いたくねーよ…) でもきっと、間違いじゃないですよね。 俺は、限りある時間でどれだけ亮さんを大切にできましたか。 どれたけ笑顔になれましたか。 俺は亮さんのどこが好きだと思いますか? 俺の、どこがすきですか? 『お前が離れないなら、俺はどこにもいかないよ』 約束してくれたのに、守れなくて、すいません 。 ずっと言いたかったことが、溢れてくる。 伝えることなんかできなくて、言えなくて。 もし、ひとつ間違えてるとしたら。 いくじなしな俺ににわかること。 俺達が、もし男同士じゃなかったら、そしたら 出逢うこともなかったし、 好き、という気持ちにも出逢わなかった。 想いが伝えられなくて、焼きもちして辛くなることを知らなかった。 想いが伝わると、嬉しくて、恥ずかしくなって。 手をを繋いだり、抱き締めることを考えてしまって。 こんなにも夢中になってしまうんだ。 やっぱり、忘れることはこの先ずっと出来るわけがないんだと思い知って、出会ったあの日と重ねてしまうんだ。 『そばにいれればそれでいいよ、倉持』 亮さんの夢を叶えるという俺の夢は俺のせいで叶わなくて。 でも、忘れたくないのは、亮さんのことを好きな想い。 それも隠さなくちゃいけないから。 だから、別れをつげて走り出したら、雨に濡れながら、 かくしておいた本音といっしょに、 子供みたいに大声をあげ、 あなたを想って泣こう。 ーーーーー |