カイロほしい | ナノ
窓越しの景色はフィルターをかけたように灰色がかっていた。時折すきま風が吹き、そのぴゅうという音と連動して庭の細い紅葉の木が揺れていた。赤いを通り越してぱりぱりになった茶色い葉がこぼれて、向かいの道路を転がっていく。それだけでも寒そうなのに、あいつは視覚的にも感覚的にも比べ物にならないくらい寒い山の頂上にいる。年中真っ白なそこは、冬になると雪に埋もれて沈んでしまうのではないかと思う。だがあいつは肩に雪が積もろうが、冷たい雪が腕を打とうがずっとその場所に立ち続けているのだろう。しかも半袖で。生きていることさえ奇跡ではないか。ヒートテックを着てセーターを着てダウンコートを羽織ってマフラーを巻いても、そこに立ち続けることができる自信が俺には湧かなかった。なぜなら扉を開けたと同時に吹き込んだマサラタウンの風でさえ冷たいと感じたからだ。けれども俺は、寒いのに悪いなと思いつつもピジョットの入ったモンスターボールに触れるのだ。






「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -