澄んだ声が/赤緑 | ナノ


「こんだけありゃ十分だろ」

洞窟の隅に置かれた大量の食糧と道具を見て、僕は思わずおおと感嘆の声を漏らした。

「ひと月は保ちそうだ」
「すげえだろ」
「うん、ピジョットよくがんばったねー」

側にいたグリーンをひょいと躱し、その荷物とグリーンを載せて頂上まで飛んできたピジョットに駆け寄って、首のあたりをわしゃわしゃと撫でてやった。腕に擦り寄ってくるピジョットを後目に、背中に刺すような視線を感じるので後ろを見ると、グリーンは案の定ふてくされたようにムッと頬を膨らませておれをにらんでいる。あまりにも表情に顕著に出ているので少し笑ってしまった。しかたない、ご機嫌取りしに行かないと。
口元がほころんだままグリーンの前まで歩み寄って、よしよしと頭を撫でてやった。

「な、」
「グリーンも買い出しありがとう」
「ちょっ、髪の毛ぐしゃぐしゃすんな」
「いやなんかピジョットみたいに撫でて欲しそうな顔してるから」
「してねえ!」

グリーンの顔は瞬く間に真っ赤になっていって、そんな顔で睨まれても全く怖くなかったけれど、恥ずかしそうなのでこのあたりで止めておいてあげることにした。僕が手を離すとグリーンの視線はそのあとを追って名残惜しそうにするから、少し期待してしまう。僕と目が合うとすぐに目を逸らして落ち着きなく瞳を揺らしていた。しんと静まったなかで、開いたのは僕の唇。

「グリーン」
「な、んだよ」
「好きだよ」

告白する予定なんてなかったのにすらすらと僕の唇は動いて、戸惑っているせいかこわばってる両手を優しく握って、グリーンの唇にキスをした。









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