空/鋼紅 | ナノ


「さ、ダイゴさん、こんな晴れてるのに外に出ないなんてもったいないですって」
「ええー」

ほんの10分前に僕の家にきたルビーくんは、早速僕と石の鑑賞するのに飽きたらしく、外出したいと言いだした。最近外に遊びに行かずに部屋に籠もってテレビゲームばかりしている子どもが増えているというが、ルビーくんにはそんな心配は無用のようだ。聞くところによると、彼は毎日草むらや山道や海を散策しているらしい。僕が外に出てすることといえば化石掘りや石集めで、薄暗い洞窟に一日中いることだってしばしばあるんだから、ルビーくんとは正反対だなあと思う。けれども若干のすれ違いを感じている僕の内心とは裏腹に、ルビーくんは僕の手首をがちりと掴んで、僕とコレクションとの間を引き裂くように外へ引きずり出してしまった。

「あれ、意外とあっさり動きますね」

ばたんと閉まった玄関の扉の前で、ルビーくんはさも驚いたように僕を見上げる。確かに単純な力の差ではもちろん大人の僕の方が上だから、抵抗してしまえばこんな炎天下の下にさらされることは無かっただろう。でもそれをしなかったのは、相手がルビーくんだからなのであって。

「ルビーくんとデートならまあいっかと思ってね」
「はあ、あんた何言ってんですか。そういうことは女の人に言ってくださいよ」

ルビーくんはくるりと踵を返して僕を置いて先に歩き始める。結構本気だったのになあと息を吐いて、僕はルビーくんのあとを追った。






100809






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