ティータイムはあたたかい | ナノ
「いつもありがとうございますナナミさん」
「いいのよ。ひとりでお茶なんて寂しいしね」

ゴールドくんが来てくれて楽しいわ、と言うナナミさんの膝には、きもちよさそうに目を細めたバクフーンがもたれかかっている。ナナミさんがバクフーンの頭をゆっくりと一撫ですると、ふわぁと大きな欠伸をもらした。その姿に2人でくすり、と笑う。

「そういえば、あの子最近帰ってこないけど大丈夫かしら?」
「グリーンさんっすか?そういや俺も先週から会ってないっす」

そういや、なんてもんじゃない。寧ろ会いたくてしかたないレベルなのに、トキワジムには何故か連日挑戦者が集まっているし、たまにそいつらがいないと思ったらジムが閉まっているという状態だ。俺に対する嫌がらせか?しかも電話さえかけても出ないし、かかってもこないという。ここまでくると避けられてんじゃないかって思ったけれど、ナナミさんにも顔見せていないところからして本当に忙しいみたいだ。

「なんか忙しいみたいっすねー」

カップをとってナナミさんが淹れてくれた紅茶を一口飲んだ。ああ、会いたいな。すると、玄関からがちゃりとドアが開く音がした。とんとんとん、床に響く規則正しいリズムはおそらく。

「ねーさんただいまー」

やっぱり、俺の想いがやっと届いたのかもしれない。

「グリーンさん!」
「え、なんでお前がいんだよ」
「ゴールドくん、結構頻繁に来てくれてるのよ」
「おい、ちょっと来い」

軽く睨まれたのでどきどきしながらグリーンさんのところへ向かった。するとナナミさんに背を向けるようにしてこそこそと話しはじめた。

「なんで頻繁になんだよ」
「え、だって俺ティータイム大好きだし。見てくださいよバクフーンなんか、あんなきもちよさそうに寝ちゃって」
「姉さん目当てとかじゃねぇだろうな?」
「ナナミさんには悪いけど、まあ焼き菓子目当てだったりします」
「…そっか…ならいい」
「ん?」

あれ、さっきの感じからして怒られる気がしたんだけどな。グリーンさんは大きくため息をついた。けどそれはネガティブなため息ではなくて、ほっと息をついたような、安心からくるもののように思えた。

「2人ともどうしたの?」
「なんでもないっすよ!」

2人して急いで椅子に掛けなおした。ゆったりとした時間の中、さっきのグリーンさんの言動の意味を考えていたら、それが嫉妬だったのではないかという結論に至った。気付くの遅いだろ俺とテーブルに突っ伏したら、グリーンさんがどうした?と頭をぐりぐり撫でてきた。ああやっぱ好きだ。






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