無口/仗露 | ナノ

jojo/仗露



「露伴、ほそい」

先ほどからちらちらと僕の腹や腕を見ていたから、何かよからぬことでも考えているのではと疑っていたが、そういうわけではなかったらしい。拍子抜けだ。別に期待してたわけじゃない。仗助はいつもそうであるし、その馬鹿をこのクソったれが!と罵って蔑むのが日課であるからであって…

「おい無視すんなよ〜」

規格外の16歳男子の拗ねた顔を見ても、かわいくもなんともない。脚を組み直す。ため息もつく。週間少年ジャンプは閉じてテーブルに置いた。

「おまえと比べたら大抵はそうだ」
「いや、前より痩せただろ」

そうだろうか。至って普段と変わらない生活をしていたはず。むしろ仗助といるようになってからのストレスが原因とか、なんて口から滑り落ちそうになったけれど、仗助が真剣に見るものだから、逆行して飲み込まざるをえなかった。

「ちゃんと食べてんのか?」
「っ、ああ」
「本当か?」

このときばかりは茶化すなんてできなかった。言われるがまま素直にここ最近を思い返してみる。確かに今週は連載の他に短編も描かなければならなかったから、少し忙しかったとは思う。そして、僕が何よりも大切にするのは仕事、則ち原稿である。

「…原稿中以外は」
「やっぱり…」

ため息を吐かれてしまった。ただそれ以上何も言わなかった。きっと仗助は僕の性分も解っているのだろう。いつもよりか弱い腕が伸びてくる。もちろん規格外にたくましいのは変わりないが。抱きしめられた感触はまるで絹のストールを羽織ったようであった。

「折れそう」
「折れても治せるんだろ?」
「でも痛いのはだめだ」

やっぱり馬鹿だ。こいつに心配かけるとろくなことがない。







120226












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