恋する再会 | ナノ
泣かないでよ、ねえ!君が泣くと僕も食道のあたりがぎゅうぎゅう収縮して苦しくなるんだ。涙腺が崩壊するのを瞼を継続的にまばたきさせることによってこらえているんだよ。きっと今の僕の顔、特におでこと鼻の間あたりはすごくおかしくて不自然だ。でも君は泣いているからそんな僕の顔もちゃんと見えていないだろう。君が泣いていてよかった。あれ、でも君が笑っていたならば僕はこんな顔をせずにいられたはずじゃないか。なんで泣いているんだよシンジくん!

「渚のあほばか何で今更…」
「会いにきただけで泣くし、あほばか言われるし、やっぱ君、僕のことほんと嫌いなんだね…」
「ああもうお前ほんとばかだよ、世界一だよあほなぎさ」
「もう僕泣くよ?シンジくん」

堪えきれなかったものがシンジくんをぼやけさせている。また見えないよ君が。もっかい死のうかな、そう呟いたらシンジくんは大泣きしていた。僕の着ているシャツの裾をぎゅっと握って。至近距離から上目遣いのシンジくんを見ていたら、今度は胸がどきどきして僕もぎゅっとシンジくんを抱き締めた。

「死ぬならやることやってから死ね、ばかなぎさ」
「え?」

シンジくんは僕を緩く突き放した。でもその両手は今度は僕の胸あたりでシャツを握っていて。わけわかんないよ。

「まず、キスをするなら正当な理由でしなさい」
「え」
「一緒に寝るならちょっとぐらい下心持て」

「ちょ、」
「…消えるなら、今度は僕と一緒に消えろ」
シンジくんはぐしゃぐしゃに僕のシャツを何度も握り直して、おでこをそこにつけてやっぱり泣いていた。なんでかって、シャツにそれが染み込んで暖かかったからだ。

「わかったか、あほ!」
「はい!」

強く睨まれて全く怖くなかったけれど、そのあまりの勢いに力強く返事せざるをえなかった。どうしていいかわからなかったけれど、とりあえずもう一度シンジくんを抱き締めてみた。僕よりも華奢な肩がびくりと震えた。僕は君が好きだと思った。





091129







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