短文 | ナノ

円堂と豪炎寺/inzm


収拾つかなくなったのでorz


口にして相手の耳に届かなければ、想いが伝わらないことがある。だが、言葉では伝わらない想いというものもあると思っている。それは言葉にできないので、このように文章にして説明することも例を挙げることもできないが、相手の気持ちが直線的に自らの心を支配するような、相手の心の状態とシンクロするような感覚なのである。しかしそれは俺の主観的な評価であり、ただの錯覚だと言われればそれまでなのだが、俺はそうだと信じている。
円堂の腕は、苦しさを感じないくらいの力加減で俺を包んでいて、且つ逃げられない程度には俺を拘束していた。円堂の唇がうなじに当たって擦れて、そこから頭の天辺に向かってぞくぞくした感覚が何度も連続して駆け上がっていく。
円堂が話さないから、空気はピンと張ったみたいで、その緊張感で益々うごけない。からだに落ちるリップ音と空気に触れるぬるい息がそれと矛盾していて、沈黙の切なさを際立たせていた。
優しく扱われて幸せなはずなのに、喉の奥は泣きたくなっているせいでじわじわと疼いている。自分が悲しいわけではないのに、心臓がじくじく痛んだ。円堂が触れている手をからだから離すたびに、触れられている感覚がするりと抜けていくのが俺を不安にさせる。振り向くと、円堂は目を細めて微笑んだ。







110119




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