短文 | ナノ

円堂と風丸/inzm


風丸のベッドにもぐりこんで、抱き枕みたいに風丸を抱きしめてうとうと眠りにつこうとしていたときだった。

「円堂、寝れない」
「…俺は寝れるぞ?」

やっぱりだめだったらしい。とりあえずしらばっくれて診ることにした。だって俺は意地でもこうやって寝たい。

「いや、聞いてないし」
「あはは」
「じゃなくて、くっつかないで」

笑ってごまかしても通用しない。というかそこまで拒否されると悲しくなる。風丸はたまに厳しいこともあるけど、結局いつも折れて俺の頼みを聞いてくれるのに。

「なんで?」

自分でも声のトーンが一段下がっているのがわかる。脅すつもりじゃない。ただ理由が知りたいだけだ。

「暑いからさ、」

風丸の声はうわずっている。なんか隠してるな。

「今日すげーさみぃじゃん」
「…じゃあ寝返りうてないし」
「じゃあってなんだよじゃあって」

そっぽを向いている風丸を無理やり振り向かせた。抱きしめた体制のままだから鼻と鼻がくっつくくらいに近い。うっ、と息を詰めたのが聞こえた。

「風丸?」

暗がりでよく見えなかったが、目が慣れてきた今ならわかる。風丸の顔は真っ赤だった。

「顔、近…っ」

心臓の音が聞こえる。風丸が眠れない理由がわかってしまった。

「(かわいいすぎだろ…っ)」


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