短文 | ナノ

虎丸と豪炎寺/inzm


「ごーえんじさん!」
「わ、」
背中にぶつかられたせいで、よろめいた足は三歩前へ進んで、なんとか持ちこたえた。一瞬止まったように感じた心臓がせわしなく動いている。してやられたような気がしてむかつく。張本人の虎丸はしてやったりという笑みを浮かべて、俺の目の前に現れた。
「びっくりしました?」
「…別にしてない」
「ちょっと顔赤いですよ」
「な、」
顔には出していないはずなのに。とっさに腕を引いて頬を隠せば、虎丸はくすくす笑い始めた。
「うそですよー」
かまかけられた…!2こ下の後輩はにやにやした笑みで俺を見上げてくる。今度は正直に頬が火照ってくる。
「ああもう豪炎寺さんかわいいいい!」
「おい、やめっ…!」
飛びつかれた俺は今度こそ盛大に尻餅ついた。





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テーマ「人外ファンタジー」
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