ある晴れた日、お怒りのマルコに呼び出され甲板で正座をさせられた暇なおれと洗濯物を干していた最中のなまえと他数名のクルー達。

マルコの手には自分のパンツであろう色褪せたパンツを持っていた。なんだか使い捨てられた感のするパンツだな…誰しもが思った。

「よし、容疑者はみんな揃ったよい。じゃあ質問に答えろ。今日…洗濯をしたのは誰だ。潔く挙手をしろなまえ」

え?明らか明白に名指しじゃねえか。おれを含めそこにいたほとんどのクルーがそう思ったものの、マルコの尋常じゃない怒りっぷりに何も言えなかった。沈黙を貫く野郎共。マルコの額には漫画で言うキレてますよマークがにょきっと浮かび上がった。

おれが、この空気どうすんの…?と思う中、スッと横で何か動くものが見えた。なんだ?とそちらを見ると顔面蒼白で歯をガチガチ震わせこれまた震える手で挙手をしているなまえの姿があった。
するとマルコはなまえに指を向け口を開いた。

「犯人は、おまえだ」

「何もったいぶってんの!?最初からわかってただろ!」

「く…!完璧なアリバイ工作だったのに…!何故バレたの…!?」

途端に悔しさからか床を叩くなまえ。本当に悔しそうだ。本当に理解できそうにない。

「え?何これ」

「おれの推理は迷宮入り」

「そっか」

何だこの茶番劇。おれらは何の為に集まったんだよ朝早くからよ。

「だって聞けよいエース。こいつ馬鹿すぎて馬鹿大変なことしてんだぞ。馬鹿にしてる訳じゃねえけど、馬鹿だから馬鹿は治らないって言うしよい」

「馬鹿馬鹿鹿馬バナナうぜえ!」

「おまえがうぜえよい!」

色褪せたパンツを間に挟み睨み合う二人。おれは思う、こいつら仲いいよな。しかしいつまでも進展しない会話に溜め息が出る。

「で、何があったんだよ」

「それがな、こいつ洗濯する時にあろうことか食器用洗剤joy入れたんだよ。そのせいで泡あわだよい。悪意があるとしか思えねえよい」

「まじかよなまえ?そんなことまでしておれらのこと…」

「失敬な!ただ間違えただけだもん!でも洗剤じゃん…!」

「洗剤は洗剤でも皿洗う洗剤だろ!しかも漂白剤まで入れやがって!もうおまえ悪意の塊だろい」

「…ちょっと間違えただけじゃない!みんな黒々とした因縁渦巻く汚れも綺麗さっぱり潔白になったよ」

「ああ。何もかも真っ白にな。」
「マルコうまい」

「あなたのパンツは…まだ心の内に洗い流せない何かがあるのよ」

「ああん?おれの心は汚くこびりついてるってか?」

「そこまで言ってない…!被害妄想でキレるのやめてよ!」

マルコの被害妄想にお手上げのなまえ。ていうかなんだ今の占い師みたいなの。パンツ判断か?パンツ判断なのか?

案外デリケートなバナナね…と呟いたなまえ。マルコは漂白剤で所々白くなったパンツをなまえの顔面に向かって投げた。パンツのくせになまえの顔に当たった時パァン!と清々しい音がした。どんだけ力入れたんだよマルコ!?
パンツがはらりと取れ、見えてきたなまえの顔にはマルコの攻撃力の強さからか真っ赤な跡がついていた。マルコ怖え。

「ぐおおおお!痛いじゃない!女の子になんてことを!」

「わかったか。それがおれの心の痛さだよい。…つか女の子?ハハハ」

「笑う要素ないんだけど!?」

おれはギャーギャーと終わらない二人の口論にまた溜め息をついた。もう放っておこうと後ろを向けば、いつのまにかおれ達の周りには人だかりができていた。ん?なんだ?と思っていると、なんでもない二人のやり取りが面白いのか、それを見ようと人だかりができていただけなのだ。みんな笑ってやがる。

なんだ、なまえの奴すぐ馴染めるんじゃねェか。おれは今だマルコと口論してるなまえを見た。

「もういいよい!なまえ!罰として倉庫掃除一週間な!」

「ええー!そんなあー!」

マルコは親指を下に向けひたすら渋るなまえを無視して、船の中に帰って行った。なまえはマルコの愚痴をぐちぐち言いながら洗濯物を干すのを再開した。

「なまえー」

「ああ、エース。の馬鹿」

「なんでだよ!」

「バナナの暴走を止めてよね。仲間でしょ」

「ああなったマルコは止められねェよ。つかあれはお前が悪い」

「…まぁ…ね」

「お!素直じゃねェか」

いい子いい子となまえの頭を撫でてやると「子供扱いしないでよ…っ」と少し照れた感じでおれの手を叩いたなまえ。

「なぁなまえ」

「ん?」

「…やっぱりいいや」

「何?何?気になる」

おれはふと疑問に思ってたことを口に出そうとして…やめた。今は聞く時じゃねェ、そう思ったから。

「なーに?」

首を傾げながらおれの顔を覗きこむなまえ。

「だーから、おまえ白ひげ海賊団に馴染めてきたなってこと」

「冗談やめてよ!海賊はイヤ!」

「へーへー」

その割にはマルコと仲良いよな、と言ってみると途端に真っ青な顔を浮かべありえないという顔をしたなまえ。

仲…良い…のか…?


叱るのは愛情表現

(悪い…作業続けてくれよ…)

(うん…)



 

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