「と、言う訳で連れてきたぜオヤジ」

「グラララ!意気のいい小娘だなァ!」

これが白ひげ…!な、なんか威圧で負ける…!現に今、ここにいるのがやっとだ。怖っ!でも目を逸らすことはできない。だって海賊なんかに負けたくないもん。

「……ほぉ、生意気そうないい目ェしてやがる」

白ひげはキッと睨みを効かせているわたしを一瞥する。褒めているのか?分からない。ていうか、バナナが言っていた制裁ってなんだろう…?やっぱり拷問とか?火炙りとか?それとも打ち首とか?むしろバナナに関連した何かかもしれない。


マルコとか言うバナナはわたしをあの白ひげ海賊団の船、モビーディック号に連れて行った。海賊船に上がる時に、おじゃまします、と言ったら半裸男さんにお前って礼儀正しいなと言われた。そう言うあなたは初っぱなから半裸で礼儀がなってないですね、とにこやかに言い返したら殴られた。

わたしを白ひげに会わせようとするバナナを半裸男さんは最後まで止めたけど、バナナは最後まで聞く耳を持たなかった。忌々しいバナナめ!わたしが死んだらバナナの枕元に立ってやるからな…!と言う訳で連れてこられたのは白ひげこと、エドワード・ニューゲートの部屋だ。
部屋の中には白ひげ1人ではなく美人ナースが何人もいた。みんな妖艶だ。紐パンでヒョウ柄パンティ穿いてそうな女達だ!なんていう事だ…!なんたる事だ…!

で、今に至る

「オヤジ。こいつの処分どうするよい?」

「…おい小娘。そんな殺気立ちやがって。何か言いたいことでもあるのか?」

「…さすが海賊王に一番近いと言われてる男ね。そこいらの海賊なんて屁でもないわ」

「グララララ!おれに媚び売ったとこで意味なんかねえぞ?」

「媚び?冗談じゃないわ!海賊に何で媚びなんて売らなきゃいけないのよ。見てらっしゃい…!海賊なんかいつか海軍に突き出してあげるんだからね!」

「…!」

わたしが挑発的な言葉を言い放った時周りはざわめいた。そして半裸男はわたわたしていた。バナナはニヤついていた。何こいつら。

「グララララ…!!相当海賊がお気に召さないようだなァ。…その肝っ玉気に入ったぜ。小娘…なまえと言ったか、お前ににこの船の雑用を任せる。しっかり働きやがれ」

「な…!!」

「まじかよオヤジ!」

「おいおい」

な、何言ってんのよこの人!?わたしがこの船の雑用?

「嫌よ!海賊船にいるくらいなら死んだほうがマシ!」

「グララララ!言うと思ったぜ。だからこそ、だ。海賊を嫌うお前にとっちゃ屈辱的だろ?」

「…!」

悔しい…!わたしは悔しさから下唇をキュッと噛み締めた。

「話は着いたな。お前ら小娘を部屋にでも案内してやれ」

へーいと言いながらバナナと半裸男がわたしの首根っこを掴んで引きずって行く。ケツが痛い…!男の風上にも置けないわ!

「嫌嫌!離してよ!」

「ムリだよい」

「なら離さなくていいから、引きずらないでよ!」

「ムリだよい」

「なんで!?」

「痛がってる姿が面白いから」

「え?そこ?」

白ひげはわたしたちのやり取りを意味深な目で見ながら酒を呑んだ。そしてわたしの隣を歩く半裸男は無言のままだった。


第1回雑用係任命式

(それにしてもお前よくオヤジに啖呵きれたな。命知らずな馬鹿野郎だ)

(正直怖かった)

(面白いものが見れたよい)



 

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