「海賊なんか、みんな捕まえてやりゅ…やるんだからね!」

噛んでしまって格好もつかなく、訳が分からないことを言い放った(ちょっぴり可愛い)この女は真剣に真剣を出してきた。べ、別にダジャレじゃねぇぞ!

チャキッと両腰についてた短めの剣を抜いて構えてきやがった。この女、二刀流か。でもなんていうか、その背格好にはあまり…というか非常に似合わなかった。剣なんか持つ様には全く見えない。そのアンバランスさに危うさすら覚える。

すると先ほど無情にもおれを置いて行ったマルコがおれの前にスッと現れた。あれ?なにこいつ?

「その成り立ち…間抜さ、おまえ…漂流のなまえかい?」

「その2つ名やめて!」

マルコがそう言うとなまえと呼ばれた女はほのかに頬を赤らめながら叫んだ。何だ?嫌なのか?その2つ名。ていうか

「マルコ知ってるのかあいつ?」

「まぁねい」

マルコが言うには最近巷を騒がせている賞金稼ぎらしい。腕の方は知らないが、その間抜けさは有名らしい。なんか…不名誉だな。

「で、おれたちになんか用かい?」

「ふふん、わたしを賞金稼ぎと知ってて聞くなんて野暮な男。あんたたちを捕まえて海軍に引き渡すだけ」

「おまえなんかにできるのかよい?」

「できるわよ」

マルコと女の睨み合いが始まる。あー…おれなんか邪魔じゃね?邪魔なんじゃね?なんて思っていたらマルコが、なんか話せよって言ってきた。何を話すんだよ…!

「そこの半裸男は何か言うことはないの?最期に」

「え…!?あー、あの…」

「最期って、おまえ可愛いのによくおれ達にケンカ売ったなァ。その根性は認めてやるよい」

「え?あ、ありがとう…」

いきなりのご指名がきたというのにマルコの野郎邪魔してきやがった。完璧おれのこと嫌いだろマルコ。
なまえとかいう女は可愛いと言われたからか、またもや頬を赤らめて感謝の意を述べてきた。おいおい照れてんぞ。

「ハッ!危ない!わたしを惑わす作戦ね!そうはいかないわ!」

目の前の女は勝手に解釈して勝手に誘導されそうになっていた。…間抜けか…うん…分かった気がする。隣のマルコは、おまえ馬鹿だろい、と言った。

「…な!?…覚悟しろ!」

馬鹿にされたのが勘に触ったのかなまえは剣を握りおれらの方に向かってきた。

「うわ!」

シュッと女の剣が空を裂く。ボケッとしてたので危うく当たるとこだったが、間一髪で避けれた。

待てよ?
おれらの後ろって、
木だったよな。

ふとそう思った時、ドンッと何かがぶつかった音がした。まさか、なんて見てみると案の定なまえが木にぶつかったらしい。

…期待を裏切らない女だ

なまえはよほど強く当たったのか涙目でおでこをさすり、い、いひゃい…いひゃいとフラフラしている。おれはその姿を見ていられなくてこの間抜けな女に大丈夫かと声をかけようと手を伸ばした。
が、その手はなまえに届く前にマルコに叩かれて意味を失った。

「なにすんだよ」

「よし、捕まえるよい」

おれが、は?と思った時にはマルコは女が持っていたロープを奪いその女を縛りだした。

女は奇声を発っし抵抗していたが、これ以上うるせぇと亀甲縛りにするぞ、というマルコのドスの効いた発言でとても大人しくロープに巻かれていた。

なんてことだろう。この女はおれらを捕まえにきたというのに逆に捕まってしまったのだ。なんともおかしな光景だ。

なまえとかいう女をロープでぐるぐると巻き終わるとマルコは、よいしょ、と言って肩に担いだ。そしてスタスタと船に向かって行った。
「え?待てよ!船に連れて行く気かよ!?」

「その気だよい」

「え?…本当に!?船に連れてくのはやめようよ!」

「なまえの意見は却下」

「…なんでこいつ船に連れて行くんだよ?」

「誰だろうとおれらの首を狙った奴だろうが。制裁をくださなきゃならねぇじゃねぇかよい」

なぁなまえとマルコがニヤリと笑った。女が青ざめているのが分かった。

「ね、ねぇ、半裸男さん…」

「なんだよ」

「助け「ムリ」

女はマルコの肩に担がれているので、その後ろを歩くおれに助けを求めてきたが無駄に終わらせた。
そんなあーなんて涙目になる女を可愛いと思ってしまったが、さっきおれらの命を奪おうとしてたので口を閉じた。

マルコの言った制裁ってなんだろうな?


海賊船にようこそ

(半裸男さん)

(おれはエースだ)

(半裸男さん)

(よし。もうおまえ黙れ)



 

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