「お嬢ちゃん名前は?」

「お嬢ちゃんじゃないですばか野郎。なまえです」

「はー…、この人達全員倒したの?」

おったまけだよ、と言い帽子の鐔を触る海兵の男。子供扱いしてきたから悪態ついのにスルー。それよりもわたしはこの人のスルースキルにおったまげた。

わたしが海賊の奴等を倒し終わった直後に海軍の奴等がやってきた。多分近場の住人が呼んだんだと思う。だから今わたしの周りにはわたしが倒した海賊の人達が呻きながら倒れていて、それらを連行している海兵がいる状況だ。

「でも助かりましたよお嬢ちゃん。こいつ等は最近ここら辺で密売や売春をコソコソやっていた奴等でね、手を妬いていました」

「だからお嬢ちゃんじゃないって言ってるでしょクソ野郎。…一応わたし、この人達の懸賞金ほしいんですけど…この人達の額いくら?」

海兵は200万ベリーだと教えてくれた。それよりもこの人の耳の機能は正常に働いているのかを教えていただきたい。

「あ、そういえばここの管轄って誰?」

「あぁスモーカー大佐です」

「あぁスモーカー大佐ですか…え、えぇ!?」

まさかの驚き桃の木な名前に、大きな声を出してしまった。すると海兵は何を思ったのか、大丈夫だよ、あのおじちゃん顔は怖いけど中身はそれよりかは怖くないからねとかあやしてきやがった。それ大丈夫じゃないよね正直。

しかも今こちらに向かっているそうじゃないですか。海兵曰く今近場にいるので呼んだらしい。ちょ!!おまえ!!!懸賞金もらう所じゃないし…!!

わたしは早くこの場から立ち去らねばならない。鉢合わせだけはまじ勘弁なのです。

なのでわたしはわざとらしく、あ!いっけない!ジョニー君との遊ぶ約束あるんだった!早くこの場から退散しなきゃ!じゃあまたね海兵さん!、と早口で捲し立てた後、全速力でその場から離れた。

後ろから「ジョニー君きっと公園で待ってるよ!」と手を降る海兵におまえに何が分かるんだよ!と内心突っ込んでしまった。どこまで子供扱いしてるんだよあの海兵。

ここがどこの街なのか、この道はどこ繋がっているのか全く何も分からないがわたしは早くこの場から離れたくて全速力で走った。



「…おい、」

「はい何でしょう?」

「テメェさっき何て連絡してきた?もっかい言ってみろ」

「『2000万ベリーの凶悪海賊が小娘一人をコテンパンに負かしている現場に立ち入りました!』です」

「じゃあこの現場はなんなんだ?2000万ベリーの海賊はどこだ?どうして200万ベリーのカス海賊がここにいるんだ?説明してみやがれ」

「……間違えました!!」

シュビッと手をオデコに持っていき、悪びれも無く言うこいつにおれは溜め息しか出なかった。

小娘が海賊に被害を受けていると聞いて急いで駆け付けたが、現場にはカスな野郎共が倒れていただけだった。何でも小娘がたった一人で倒したらしい。どんな奴か一目見ようと辺りを探したが見当たらない。

「おいその小娘とやらはどこにいる?」

「はぁ、大佐の名前を聞いた途端血相を変えて去って行きました」

「あァ?」

何だそれは。おれが眉を寄せると目の前のこいつは、そうやっていつも怖い顔してるからっスよと言ってきた為、吸っている葉巻を頬に押し付けてやった。その熱さにあっつ!あっっつ!と地面を転げまわった。

「そいつはどこ行った?」

「いや分かりません。何せ全速力で去って行ったんで」

すごい嫌われ様っスね、とボソッというこいつのケツに蹴りをお見舞いした。

「…た…確か名前が、なまえって言ってましたよ…」
「なまえ、だと?」

おれはピンときた。おれの名前を聞き一目散に逃げる奴……まさか、漂流のなまえじゃねェか?

「そいつの容姿は?」

地面に這いつくばって言う男の話しの内容から、おれの記憶とピッタリ一致した。

まさかこんな所で逢うとはな。

おれはポケットから葉巻を二つだし、火をつけた。


再会に苦笑い


(大佐お知り合いなんですか?)

(…まぁな。あの人に報告しねェとな)

(?)



 

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