「あ」

「お」

今は昼。食堂は生徒達で溢れ返っている中に見知った顔とバッタリ出会った。

よお、なんて手を挙げて挨拶してきたのは昨日悪漢からわたしを助けてくれた…自称彼氏さんだ。

初めて学校で見た。まさか本当に同じ学校だったなんて、なまえは驚愕の事実に直面し言葉を失った。昨日キッドはなまえと同じ学校の制服を着ていたは着ていたが、こんな派手な奴を学校で見たこともないし、正直なまえはまさかこんな厳つい人が学生なんかじゃなかろうと勝手に思い込んでいたのだ。

コスプレじゃ…なかったんですね

「おまえはおれにどうして欲しいわけ!?」

キッドは脈絡のない言葉を紡いだなまえに失笑した。

「あ…すみません!いや、学校で見たことなかったんでまさか同じ学校だとは思わなくて」

「あぁ…まぁな。食堂とか滅多に来ねぇしな」

なまえの言っていることは正しかった。キッドは滅多に学校には来ない。来たとしてもすぐ帰ったりして特に学校に居座ることもしなかったからだ。

「へー。じゃあなんで今日は珍しく食堂に?」

「……別に理由はねぇ」

ふーんなんて言うなまえの横顔をチラリと盗み見るキッド。ここにいたらもしかしたらなまえに会えるかもしれないと言う気持ちがあったなんて言えず咳払いをする。嘘は下手なのだ。

「わたしよく食堂来るんですよ。あ…じゃあここのとっておきを教えちゃいましょう!ずばりクリーミーコロッケパンです!

「へぇ。うまいのか?」

「うまいらしいです」

「らしい?」

「はい、わたしまだ食べたことなくて…そのパン1日に3つしか出なくていつも強奪戦が繰り広げられてるんですよ。わたしいつも参戦するんですけどパンどころから人波に流されて除外されるんです…

なまえの顔が段々と憂いを帯びていくことに何故だか寂しさがこみ上げてきたキッド。除外って…。戦で言うなら足軽にもならないほどの戦力じゃねえかと、キッドは思った。






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