「メロンは…?」 後ろから声がしてキッドはビクッとした。振り向いてみると、ベッドから上半身を起こししょぼしょぼした目を手で擦っているなまえがいた。流石に今のはうるさかったか、ていうかどんな夢見てたんだとキッドは呆れた。 「おはよーさん。おまえいきなり倒れたからビックリしたぞ」 「ん…?あ…?メロ…ん?」 まだ完全に覚醒していないのだろう、メロンをまだ引きずっている。 だがだんだんとなまえの目の焦点が合ってきたのと同時に、みるみる顔が青ざめてくのが見て分かった。 「…!え!な!?ヤーさん!?なんでここに!?ていうかここどこ…!わたしは誰!」 やっと自分が置かれた状況を理解したのだろう、キョロキョロというか激しく首を回し見たこともない部屋を物色している。ヤーさん、こいつはおれをヤクザとでも思ったのか。キッドは顔が引きつるのが分かった。 このままじゃなまえが変な誤解を招いて部屋を荒らしてしまいそうだったのでキッドは事のあらましを説明しだした。なまえを落ち着かせるのを忘れずに。 ちゃんと理解したのか、落ち着いたなまえ。そして「なんだ売られるかと思った…よかった…」なんてボソっと零した。聞こえてないと思っているのかあからさまに安心している。なんだかやるせない気持ちになったキッドだったが、なまえがいそいそとベッドの上で律儀に正座をして、 「この度は助けていただきありがとうございました」とぺこりと頭を下げたことで、どうでもよくなった。 → |