「そういえば…、わたし38.5℃だったんですか?」

「あ、あぁ」

「……」

「?」

何も反応がないなまえに疑問符を浮かべるキッド。すると胸を両手で隠す様にクロスさせ、……えっち…と呟いたなまえにボッと顔を赤くしたキッド。べつに熱計っただけだ!とムキになるキッド。そんなキッドの反応を見てまたくすくす笑うなまえ。

「えっちすけっちわんたっち!」

「、!おいっ!」

両手を素早くクロスさせているなまえにからかわれていると悟ったキッドはなまえに反論する。それにしても早すぎるクロスだ

キッドは不覚にも可愛いと思ってしまった。"えっち"とからかわれた呟きにもやましい気持ちが鼓動を早めていた。こうやって、なまえとじゃれあっていないと本気で押し倒してしまいそうな衝動に陥ってしまう。こんなに自分は脆い男だったろうか?とキッドは内心で自重気味に呟いた。段々と膨らむ恋心、キッドはその事に嫌でも気づかされていた。

そんなキッドの心中を知るよしもないなまえは、あ、そうだ、と言うとパンッと両手を合わした。その音で我に帰ったキッド。

「キッドさんは、その、恋ってわかります?」

熱のせいか、頬が少し赤く見える。こんな時に、こんな質問かよ、とキッドは内心で毒ついた。こいつは実はおれの気持ちを知ってワザとこんな質問をしてくるのだろうか?と勘潜ったのだが、「友達に聞いたら愛されるより愛したい。マジで。って言うからよく分かんなくて…」というなまえにそんな訳ないかと即否定した。マジで。ってなんだよ。

「…、恋ね。一人でするのが"恋"って聞くな」

「一人で、する…?…恋するとどんな気持ちになるんでしょう?」

「はあ?」

至極真剣な表情でズイッと身を乗り出したなまえに眉毛をへの字に曲げた。なんだいきなり、と訝しげな瞳を浮かべた。が、恋について考え出したのか顎に手を置き、はて、と考え出した。

「そうだな…、気がつけばそいつのことばっか見てたり、思ってたり…、頭の中はそいつでいっぱいだったり、そいつがドジでまぬけだと危なっかしくて守ってやりてぇって思っちまう。だからたとえそいつと会話が噛み合わなくても全てまるっと好きになっちまうっていう…」

ふむふむ、と頷くなまえにハッと我に帰るキッド。ななな何言ってんだおれはっ…!!と急に恥ずかしさが込み上げてきて、「今の忘れろ!銀河系の如く忘れろ!!」となまえに言い放つ。銀河系を出すくらい恥ずかしかったのだろう。



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -