「…って事があったんだよね…なんか先輩がいつもの先輩じゃないような、なんかよく分かんないけ、そんな感じがしたんだよね」

「うーむ、恋する若き男と女、ね」

昨日の一部始終を事細かく話した。そしたらうんうんと頷きながら話すピー子。恋?恋ってなんぞや?

「何って…愛されるより愛したい。マジで。っていう感じ?」

「いや意味分かんないよ。そのマジで。が特に胡散臭いんだけど」

「まぁお子ちゃまななまえにはまだ分かんないんじゃない?あんた彼氏いないんだし」、「ピー子にもいないよ?」、「だまらっしゃいわたしはいないんじゃなくていらないの!!」というピー子の必死すぎる弁明を他所に、ジン!とした痛さが右の手のひらに走った。

「あれ真っ赤」

ほらっとピー子に見せると、ほらっじゃないでしょ!火傷じゃない!保健室行ってきなさい!と捲し立てられ、教室から追い出された。なんて元気のいい子なんだ。わたしはそんなことを思いながらズビッと鼻の垂れる姿で保健室までの道のりを歩いていった。


「風邪ですね。熱もあります。よく今まで気づかなかったよね

保健の先生からの重大な発表。目をかっぴらき驚いた。熱は38℃と高いらしい。
そして火傷してしまった右手を包帯で巻かれ、「こっちも巻いてください」、と左手を差し出したわたしに、「何で?」、と先生が言ってきたので、「気分はストリートファイターです」と言えば先生に笑顔で叩かれた右手。

痛すぎて声が出なかった。





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