そんな痛々しい入浴が終わり、服に着替えようとした時、

ズボンがないことに気づいた。

先ほど入浴する前は確かにあったのだ、いやあったのか?なまえは自分の記憶力に全くと言っていいほど自信がないので、あったかどうか、分からなくなった。まぁ上だけ着て、先輩に聞けばいいだろう。そう思いダボダボTシャツだけ着て、トラファルガーの部屋に向かう。

「おい、さっきの奇声はなんだったん……だ…」

足を組み、ベッドにもたれ掛かって座っていたトラファルガーがなまえの方に振り向いた瞬間、言葉が途切れた。

「あぁさっきのはえー…と、その、体洗う前の気合い入れというかその…」

「…」

「先輩?」

なまえが目を泳がせながら先ほどの奇声をフォローしている間もトラファルガーは目を見開き、黙っている。さすがに見られすぎて気色悪くなったなまえは声をかけてみた。

するとトラファルガーはハッと我に帰り、少し顔を赤らめながら「おま…その格好…」と言ってきた。

なまえの格好はと言うと、ダボダボのTシャツ一枚だけを羽織っていて、かろうじてパンツが見えないギリギリのところまで隠れている状態だ。しかもTシャツは白生地にガラが少しついているだけなのでピンクのブラがぼやっと透けているのだ。

これは男のロマンであり、理性をくすぐる格好である。しかしなまえはいつも風呂上がりはこんな格好なので気にはしていなかった。しかし、ズボンがないと足がスースーするのでそのことをトラファルガーに聞こうと口を開こうとした。

するとトラファルガーの片手に先ほど脱衣場にあったはずのズボンがあったのだ。

そこでなまえは合点がいった。自分が風呂に入っている時に先輩が脱衣場から取っていったのだ、と。こんなことをして何か得るものはあったのか?となまえは疑問に思ったが、まぁ先輩の考えていることは常人には分からないか、と自分を常人に例えた解釈をし、考えるのをやめた。

「やっぱり先輩の仕業だったんですか!返してくださいよズボン!」

と片手を出し、トラファルガーに詰め寄ったなまえ。しかしトラファルガーは下を向いていて、返事はなかった。仕方ないとなまえがトラファルガーの片手からズボンを奪い取ろうとしたが、目に入ったのはトラファルガーの凛々しい腰。なまえはゴクンと唾を飲む。触ってみたい。男の腰を。

トラファルガーの腰に目が釘付けになっている。そんななまえは、さながら変態にしか見えなかった。

そして、トラファルガーが下を向いてたのをいいことに腰に腕を回して、ぎゅっと抱きついた。

いい腰だ…なまえが変態と化した

「この筋肉のつき方はいいですね」

なんてトラファルガーの腰を縦横無尽に触っていると、ガシッと伸ばしていた腕をトラファルガーに掴まれその勢いでベッドに倒された。






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