するとトラファルガーは片腕でなまえを弱々しく抱きしめた。目の前にはトラファルガーの胸板。服越しに生暖かい体温が伝わる。、え、っと思ったのもつかの間、「馬鹿ヤロウ…心配かけさせんな」と頭を叩いてきた。 あで!となまえが頭に手をやり叩かれた場所をさすっていると、トラファルガーはなまえの肩口に顔を埋め、「…悪かったな、肝心な時に助けられなくて」と呟いた。 先ほどのあの男のニヤケ面が思い浮かぶ、楽しそうに笑い合う二人の顔が思い浮かぶ、トラファルガーはギリッと歯を食いしばった。 なまえの肩口に顔を埋め動かないトラファルガー。いつも余裕そうなトラファルガーが自分の為なんかに息を切らして来てくれたり、必死になってくれたことがちょっぴり、いやかなり嬉しく感じたなまえ。不謹慎にも顔がニヤケてしまう。 「心配…してくれたんですか?」 「当たり前だ…」 思わずふふっと笑ってしまった。笑われたことにトラファルガーは怪訝そうに「…なんだよ」と問いかけてきた。チラッとこちらを見て。 「だって、なんか嬉しくて。それに、先輩は悪くないです…わたしがドジなのが悪いんです」 「まぁそうだな」 なまえはそんなことない、と否定してくれるのを期待してたのに返ってきたのは肯定する言葉だった。「えー!そこは否定しましょうよ!」となまえは口を尖らせて言うが「ムリだ。否定できねぇ」と言うトラファルガー。ムードのカケラもないやい…なんだか悲しくなったなまえ。 和やかな雰囲気になったとこであることを思い出したなまえ。 「あ!…わたしも謝らなければならないことがあります」 「…?」 「チンピラに襲われてる途中、トラファルガー先輩助けてってそればっかり思ってました。さっきの男の人が助けてくれた時も、トラファルガー先輩かなって勝手に期待しちゃってて」 あははーなんて笑いながら「頼ってばっかですいません」と言うなまえ。これを聞いたトラファルガーは先ほどまで自分が考えていたことが急に馬鹿らしくなり、なまえの頭をガシガシと遠慮なしに撫で回した。 「別に謝ることじゃねぇよ」 手を離した時にはなまえの頭は素晴らしいことになっていてトラファルガーはくっくっと笑った。 求められることの嬉しさ (それにしても厄介な奴がでてきたな) (先輩今日変態じゃないな) |