キッドが後ろでニヤリと笑ったのを(※実際は苦笑い)見たトラファルガーは「…もういい」と言い、グイッとなまえの腕を掴み玄関に向かった。そして「コイツが迷惑かけたな、邪魔した」とキッドの顔を見ずに言葉を放った。 なまえはというとトラファルガーに腕を掴まれているので前のめりになりがら必死に鞄を手に持ち「お世話になりましたー」とにこやかにお辞儀をした。 二人が玄関をくぐり、バタンと扉が閉まる。静かになる室内。 …あいつからどうなまえを取ろうか。キッドはなまえに興味半分で近づいたはずだったのが、いつの間にか本気になっている事に気づき、そんな自分を嘲笑った。 前途多難、上等じゃねぇか、。 ズンズンと前を歩くトラファルガーになまえは無言で後ろから着いて行く。明らかに怒っているのがオーラから分かる。それが分からないほど馬鹿ではない。 そりゃあ知らない人には着いて行くなとは散々忠告されてたけど、今回のはしょうがなくない!?わたし意識飛ばしてたんだもん!!心の中で悶々考えるなまえ。最初は落ち込んでたが、終いにはおまえはわたしの母親か!!なんて逆ギレし、トラファルガーがこちらを見ていないのをいいことに舌を出してベー!と対抗した。幼稚すぎる。 すると突然トラファルガーはピタっと立ち止まった。いきなりのことでトラファルガーの背中に鼻をぶつけたなまえ。いい加減鼻が曲がる。 「…おい」 「……はい…!」 「…なんであいつの家にいたんだよ。それと自称彼氏ってなんだ」 トラファルガーは背を向けたまま話すので肝心の表情が見えない、感情が読み取れない。しかし面白くなさそうに言ったのは確かだった。しかも最後の方を力強く言ったのも確かだった。 なまえは今日起こった出来事を素直にトラファルガーに話すことにした。どうして知り合ったか(チンピラに絡まれたから)、なんでキッドの部屋にいたのか(意識を飛ばして部屋に運ばれたから)、なんで仲良くなったか(一見怖そうだけど、悪い人には見えなかったから)、 一通りあったできごとを話すとトラファルガーはなまえに顔を向けた。一瞬苦虫を噛みつぶした様な顔が見えたが、すぐに隠された。眉をさげて悲しそうに笑うトラファルガーによって。 < → |