はぁー…、と重いため息が出る。それと同時にぐでっと机に突っ伏した。なんかもうメンドクサくなりかけてるというか沸々怒りが湧いてきたから机に先輩の名前を書いて怒った顔の食パンマンを書いた。通りすがったクラスメイトに「カビパン?」と言われたが「これはまだカビる前」と説明しておいた。なんでカビパンを書かなきゃいけないのだ。ふと、よく見たらSHRは終わっておりクラスメイトは大半帰ったみたいだった。すると後ろから「アメーバ帰るよ」なんて声がかかった。あ、キューピーか。 「別に気にしてないし」 「その般若の顔でそれを言うか」 「別に、アメーバかわいいし」 「あー、はいはい帰るよー」 キューピーに引きずられるように下駄箱に向かう途中、窓越しから見える先輩の教室をチラッと見る。いない。もう帰ったのかな。 「…気になるなら自分から家まで会いに行けばいいのに」 「な、なんでわたしがあんなデリカシーのかけらもなくて時にわたしを下僕扱いし時にわたしを崇め奉ってなんやかんやイケメンで足が長くてモデルのような体型な先輩なんかに、会いに行かなきゃならないのよ!!」 「危機せまる感じで褒めてる。褒め殺してる。それに誰もあの先輩とは言ってないわよ」 そう言われてうっと息詰まる。何故ならマフラーできゅっと絞められたからだ。おかしい。乙女的展開は台無しにされた。 「あーあ、風邪ひいて心細いだろうに愛しの下僕が行かなくてどーすんのよ」 「…え?も一回言って?」 「愛しの、下僕?」 「そこじゃない!そこはかとなく悪意を感じる!」 キューピーの渾身のボケに下駄箱でみっともなく叫んでしまった。うっと涙目になるわたしに「ごっめんごっめんおれイケメン」と謝る気など微塵もないであろうキューピーおのれ貴様覚えていやがれ…!ぐすっ…! → |