逃げた先
ピーブスの下をすり抜け、5人は命からがら逃げ出した
廊下の突き当たりでドアにぶち当たった
鍵が掛かっている
「もうダメだ!」
ロンがうめいた
みんなでドアを押したがどうにもならない
「おしまいだ!一巻の終りだ!」
足音が聞こえた。
ピーブスの声を聞きつけ、フィチルが全速力で走ってくる
「「ちょっとどいて」」
メアリーとハーマイオニーは押し殺したような声で言った
ハーマイオニーはハリーから杖をひったくり、メアリーはローブの中から杖をだした
「「アロホモラ」」
カチッっ鍵が開き、ドアがパッと開いた
5人はドアに入り、急いでドアを閉めた
ドアに耳を当て、耳を澄ました
フィチルとピーブスの会話が聞こえた
ピーブスはフィチルをからかっていた
「フィチルはこのドアに鍵が掛かっていると思っている。もうオーケーだ――ところでネビル、ルシーを離したら?」
メアリーのローブをさっきから握っているネビルにハリーは言った
メアリーは気にしないでいたけでネビルはハリーに言われ離そうとしたがネビルはメアリーのローブを引っ張った
「どうしたのネビル?」
ハリーたちも振り返った
メアリーたちがいたのは部屋ではなく廊下だった
4階の禁じられた廊下だった
そしてみんなは納得した
なぜ立ち入り禁止だったのか
真正面には怪獣のような犬の目だった
床から天井まで犬で埋まっている
頭が3つで血走った3組のギョロ目
「ワーオ」
メアリーは面白そうなものを見つけたかのように声をあげた
メアリー以外は戸惑ったがすぐに戸惑いも消えた
ハリーは未だに犬を見つめているメアリーの手を握りドアの取っ手をまさぐった
5人は反対方向に倒れこんだ
ドアを後ろで閉め、メアリーはハリーに連れられながらも来た廊下を走った
フィチルに見つからずに太った婦人の肖像画までたどり着いた
太った婦人は「まあいったいどこに行ってたの?」と聞いたが「なんでもないよ」とハリーが言い合言葉を言った
「あんな怪物を学校の中に閉じ込めておくなんて、連中はなにを考えてるんだろう」
ロンが口を開いた
「世の中に運動不足の犬がいるとしたら、まさにあの犬だね」
「あなたたち、どけに目をつけているの?
あの犬が何の上に立っていたか、見なかったの?」
ハーマイオニーがつっかかるように言った
「床の上じゃない?」ハリーが答えた
ロンは「足なんか見れなかった」と言った
「仕掛け扉…だよね。なにかを守っていたんじゃない」とメアリー
ハーマイオニーは立ち上がりメアリー以外を睨んだ
「ちがう。メアリーが言った通り仕掛け扉の上に立っていたのよ。何かを守っていたに違いないわ
あなたたち、さぞかしご満足でしょうよ
もしかしたら殺されていたかもしれないのに
もっと悪いことに、退学になったかもしれないのよ
メアリーなんて輝いた目で見るなんて考えられないわ…
ではみなさん、おさしつかえなければ休ませていただくわ
行きましょうメアリー」
メアリーは無理矢理ハーマイオニーに連れてかれた
「おやすみなさいハリー、ロン、ネビル」