さといおまつり 祭りだ祭りだ。終鈴が鳴ると同時に駆け出した馬鹿共のプリントを一挙に担い、かすがはため息をついた。 一人一人にプリントを渡すより、内容をメールにして送った方が早いのではないかとか、そもそも馬鹿共にそこまでしてやる義理はないのではないかとか、政宗がまた掃除当番をサボったとか、たくさんのため息。 「かすが、ため息ばっかりついたら幸せ逃げるよ」 「お前らのせいだ」 「すみませんねえ、いや本当」 馬鹿共と一緒に飛び出したかと思えば、ちゃっかりしっかり佐助は下駄箱で待っている。下駄箱で待つくらいなら飛び出さなければいいのに。 「止めらんないんだよ、暴走特急だもん」 「四両編成だからな」 「先頭は伊達ちゃんかなあ」 政宗が幸村を引っ張って、その後ろを慶次と元親がついていく。更に後ろを佐助が追いかけて、一周回って元就の元へ行き着く。 ひたすら同じ線路をぐるぐる回って飽きないものか。男の考えることはかすがには分からない。 「申し訳ないから俺様がプリント渡しておくよ」 「いや、どうせ全員祭り会場だろう?せっかくだから行ってみようと思う」 「やった!かすがとデートだ!」 「………」 「すみませんでした」 謙信様と行きたいから下見だ、なんて音符を出して喜ぶ佐助には言えない。 たくさんのため息。浮かれた佐助。スマートボール。 綿あめを奢ってもらって、たこ焼き屋に群がる馬鹿共を見つけて、プリントを渡して、謙信様が見回りに来て、皆から少し離れたのに佐助は気付いている。 ため息を、もうひとつ。 |