お題 | ナノ

春一番が辿り着く


「ただいまあ」

春が帰ってきたのか、夏が帰ってきたのか。与四郎は眉に崖を作り、考える。
まるで夏のような笑顔、しかし咲き誇る桜。さらに手にはナメクジが群生している壷。はてさて。

「お帰り」

春に、喜三太が帰ってきた。梅雨の生き物を連れて。
たったそれだけのこと。久しぶりに会うのは、何故だか恥ずかしい。