お題 | ナノ

唇を浸透


毒にやられたのだと、部屋の隅から教えてくれた。

「寝ていれば治るから、おとなしくしていてください」

何の毒だ、と考える。あれかこれか、最近怪しいものとしか接していない。
孫兵の何だか虫とか、三治郎が見つけた何だか蛙とか、あれや、これや。

「あ、こら」

まだ埋葬の済んでいない昆虫が山ほどいる。生物委員の顔が熱に浮かぶ。
立ち上がろうとすると、煮え湯を飲まされた。数多の虫のことを考えた。