星屑いっぱいの彼方 「風流とは、何でしょう」 兵助は体育座りのまま、土井先生を見る。黒く丸い球が、また一つ先生の手から生まれる。 「星たちを隠してまで、火花を打ち上げる。風流でしょうか」 「火花ではなくて、花火だよ」 また、一つ。 今日は織姫と彦星が年に一度だけ出会える日。それを無粋にも火花で邪魔しようとする。 子供じみた考えだと笑われるだろうか。 「それに、一年に一度だからこそ、盛大に祝うべきじゃないかな、と僕は思う」 先生は一層微笑み、さらに一つ、球を作り上げた。 「花火、一緒に作ろう」 「はい」 織姫と彦星は、花火の煙で下界からは見えなくなる。それもまた浪漫があっていい。 七夕に、七十七個の花火を咲かせた。二人は、幸せだろうか。 |