お題 | ナノ
枯れ木に沈丁花
「左近は優しいね」
このような、伊作の突然の調子にも慣れた。
手を止めることなく、振り返りもせず、ただ単調に返事を返す。
「だとしても、それだけです」
「そうだろうか」
優しいだけで、中身がない。そう言われるのが怖い。勉強ばかりしている、中身のない自分が嫌いだ。
差し障りのないように生きるのは簡単で、たまに欠伸が出そうになる。
「優しさは刃だ」
君はいつか化ける、と肩を叩かれ、予言された。
何に化けるかは、分からない。
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -