お題 | ナノ

水に映る月を彩る


留三郎は今まで、これほどまでに美しい月を見たことがなかった。

「ははは、いい気味だ」

水面に粉々の月、風流にそぐわない笑い声。
留三郎は左手を腹に、右手の人差し指を水面に向けている。

「潮江!思い知ったか、用具委員会の力!」

留三郎はすっかりうっかり忘れていた。
文次郎は、自分なんかよりずっと泳ぎが得意だということを。

月が、美しい。