瞬く星に手をそえて 所詮は叶わぬ恋だった、と今なら諦められる。 凡人忍者の家系が、良家のお嬢様を娶れるはずがない。 たった一枚隔てられた塀を越えることができない見習い忍者には、彼女の手をとって逃げることなどできやしない。 「ユキちゃんは、私なんかよりずっとずっと忍者だった」 逃げよう、と手を引いたのは彼女だった。私のことを好きなら逃げよう、と。 どうして手を離したのだろう。どうして何も言ってやれなかったのだろう。 今でもあの熱い感触を覚えている。 ある日、良家の花嫁の護衛を頼まれた。 忍術学園での花嫁修行は役に立ったのか尋ねると、馬鹿、と耳たぶを引っ張られた。 まだ、熱く、輝いている。 |