お題 | ナノ

小窓から花束


「ずいぶん色とりどりの花束だ」

たった一日風邪を引いただけで、こんなにも立派な花束が届く。
土井先生、お気をつけて、なんて、手紙まで添えてある。

「一人一輪、かな」

あれは、これは。菜の花は金吾、四つ葉は三治郎。しんべヱはよもぎで、きり丸はつくし。
各々が持ち寄ってできた花束を抱きしめ、深呼吸をする。
春の香りが、病み上がりに心地よく広がった。