お題 | ナノ

影か夢にも似て


きり丸は夕暮れの図書室が好きだった。
夕焼けに目を細める長次を見るのが好きだった。

「でも、先輩はいなくなるんですね」

何の話かという顔をされたので、肩を上げてみせる。
六年の忍装束が夕焼けに染まり、決まり悪い色をしている。

「何でもないっすよ」

きり丸は六年になった。
長次のような、図書室の番人になれただろうか。