お題 | ナノ
たったひとつの真実でした
小太郎が世話になっている北条の、偏屈じじいが倒れた。
きちんと学校に行けだの、学業優先だの言いながら、じじいはいつまでも小太郎の手を離さなかった。
「可愛いじーさんじゃん」
やっと解放された小太郎は、じっと手を見つめながら頷く。
しわしわの感触を思い出しているのだろう。
その手を強く叩き、佐助は小太郎の帽子をひったくった。
「先生にはうまく言っておくからさ、行ってこいよ」
大きく頷いた小太郎は、佐助から帽子を奪い返し、走り出した。
真っ赤な顔が、本当の気持ちだった。
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