お題 | ナノ

少年少女は夢を見る


「卿は何を望む」
「松永さんの学生の頃の話」

用務員室に来ようと思う人間は、そうそういない。
しかも昼休みに、クリームパンを持って。

「どんな感じだった?」

きらきらと輝く青春の中にいるこの光には、久秀のつまらない学生生活を話したとしても、興味が湧かないに違いない。
かといってクリームパンである。

「そのパンをくれたら話してもいいがな」
「勘弁してくれよ、松永さん。これはワシの昼飯だ」
「学生、等価交換という言葉を胸に刻みたまえ」

空腹、空腹。
光は頭に懐中電灯を浮かべ、明日はパンを二つ持ってくる、と笑った。