お題 | ナノ

神様などなれやしない


人間ドッグを一通り済ませ、病院の硬いソファに腰を降ろす。
濃姫に懇願されてきたものの、少々煙草を嗜む程度だから、体に異常があるとは思えない。

「不安ですか」

点滴を抱えた患者を見ると、自分も病気になった気がする。
青白い顔に白い服、の医者に尋ねられ、信長は首を振った。

「我は健康である」
「現代医療でも分からない病気というものをご存じですか」

誰の分か分からない点滴を抱えた医者は、白銀の髪をちらつかせ、楽しそうに白い天井を見上げた。

「医者は神様ではありませんよ」

まだ胃にバリウムが残っている、気がする。