お題 | ナノ

悪魔になったつもり


「それで魔王の妻を語りますか」

光秀はおかしくてたまらなかった。
その現世にとらわれた顔が、不安に満ちた顔が。

「よほど私の方がそれらしいと言えましょう」
「ふざけないで」
「おお、怖い怖い」

光秀はおかしくてたまらなかった。
あれほど恋い焦がれた女性を今から殺めようというのに、心がこんなにも穏やかだということが、おかしくて。