お題 | ナノ

あの空の青さを僕は今でも探してる


両目で見える景色を、政宗は少しだけ考える。
この右側の空白を埋める美しい景色があるなら、首を捻ればいい。
そうすれば、必ず小十郎がいる。

「小十郎、何が見える」
「天下が見えます」
「大きく出たな」

死角を埋めるための存在に、政宗は自身の質問をぶつける。
両目で見える景色は、どれほど美しく広大なのか。

「今日は天気がよろしい」

小十郎は眩しく目を細めた。
小十郎の目には、収穫間近の大根が浮かんでいるに違いない。
天下とは、きっとそのようなものなのだろう。