お題 | ナノ

繋いだ手と手を離したら


もう一緒には行けない、と半兵衛は言った。
もう一緒には行けない、と慶次も言った。

それでも彼らは秀吉の左右の手を離さない。

「もう一緒には行けないわ」

ねねは、秀吉の胸に寄りかかり、透明になりながら消えた。
いつの間にか両の手が自由になっていたが、秀吉はこぼれ落ちる涙を拭うことはできなかった。