お題 | ナノ

プラネタリウムは炭酸水に浸る


突然の雨に、傘を持っていない二人はとにかく手近な建物まで走った。

「科学館、ですな」
「みてえだな」

受付さえもいない科学館に、びしょ濡れの二人の足音だけが響く。
一歩歩くごとに靴から水が溢れてくるため、しょうがなく靴を脱ぐ。
ぺたぺた、響く。

「どこかにseatはねえか、座って落ち着きたいんだが」
「政宗殿、プラネタリウムが」

足音が足跡になり、プラネタリウム内の絨毯に包まれる。
かけっぱなしのテープと雨の音が、明るいままのプラネタリウムを埋め尽くしていた。

「穴が開きそうな雨だ」
「酸性雨ですからな」

テープは途切れ、いつからかまた始まる。
雨は止むことを知らない。
二人は明るい空を見上げ、それからたくさんの話をした。