お題 | ナノ
空白に透けゆく空気
目を瞑ると、だんだん世界が消えていく。
もう少しで無になると、無になれと、指先の神経が願っている。
「謙信様」
「…やはり、そうなのですね」
突然、空白が謙信を襲った。
空白を埋めようと座禅を組み、心を落ち着けようと無になった。
信玄は、無になった。
謙信は埋めようのないその穴を、もう埋めることができなかった。
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