うさぎはさびしい 「俺、動物園って好きだな」 「へえ、意外」 パンダの行列を横目に、いつもより賑わう動物園を歩く。 秀吉とねねは、今頃パンダを見れているだろうか。 「てっきり、野生が一番だから捕らえられて可哀想、って言うと思っていたよ」 「うーん、昔はそう思っていたかもな」 ありがちなラインナップを、順番通りに眺めていく。 象は餌やりが終わったらしく、眠そうに空を見上げている。 「今はさ、寂しくなくていいな、って思う」 猿山の猿は全部で何匹いるか分からない。 触れあい広場のうさぎは子供に恐る恐る抱き抱えられている。 「こんなに動物が集まっているからさ、寂しくないよな」 「…そうだね」 半兵衛は携帯電話を開き、まだ続くパンダの行列から二人を探す。 二人も互いがいるから、きっと寂しくないだろう。 |