お題 | ナノ

人はそれを初恋と呼ぶんだろう


蘭丸は自分が少しだけ嫌いになった。
最北端討伐のご褒美にいただいた金平糖を舌でもてあそびながら、いつまでも融けない雪を思う。
金平糖は溶けてしまった。
舌はまだ求めている。

「信長様!蘭丸にまた最北端へ行く許可をください」

甘い香りを出しながら、信長に許しを願い出る。
あの雪を見なければ、口の甘さを実感できない。
もう一度行ったら何をするか、何をしなくてはならないか、分かっているくせに。

「何をするか」
「二度と反乱できないよう、根こそぎ殺してきます」

蘭丸は口の中の甘さに、頬がつり上がるのを感じた。