トラップにご注意を、 「美味しいよ」 ドリンクバーにある味を全て混ぜた上に、注文したピザに付いてきたタバスコを振りかけた液体の感想が、これだ。 半兵衛はけろりとした顔で、形容のし難い液体をテーブルに置いた。 「マジで旨いの?」 「うん、皆も飲んでみなよ」 「いや…」 「慶ちゃん、いってみて」 「やだよ、政宗、頼む」 「No!冗談じゃねえ」 「では某が…」 「駄目駄目!慶ちゃんが飲んでからにしなさい」 「ええー」 「頼む、慶次殿!」 男は度胸か愛嬌か。 半兵衛が飲めたのだから、しかも美味しいと言ったのだから、いけるはずだ。 でも怖いのでストローで一口。 プラスチックの筒をゆっくり流れていく液体に注目が集まる。 「美味しい訳ないじゃん」 半兵衛の声が、耳に響いた。 |