お題 | ナノ

とりあえず帰っていいですか?


課題が終わらない終わらないとヒイヒイ呻きながら、慶次はひたすらキーボードを叩いている。

「ねえ、もう帰っていいかい」
「待って!あともうちょっとで終わるから」
「それさっきも聞いたよ」

半兵衛が叩くのはキーボードではなくテレビ。
テレビを観て時間を潰そうかと思ったが、接触が悪くて砂嵐しか観られない。

「そこまでやったら一人でできるだろう?」
「本当にあとちょっとなんだって、本当だから」
「…晩ごはん、おごってね」

秀吉がアルバイトをしている飲食店に食べに行こう、と誘った時は、そんな課題の存在は知らなかった。
腕時計を確認、店に電話。

「一時間後に二人、で」

慶次の「あとちょっと」は信用しないことに決めた。