(はいおしまい、種明かしはまた今度) 元親は病室で色々なマジックをしてみせる。 するすると繋がった国旗を出してみせたり、ステッキから色とりどりの布を出してみせたり。 「出すなら鳩を出しておくれよ」 「ここは病室だぜ」 「白いからばれないって」 半兵衛は、元親が来る度に鳩を所望する。 半兵衛の点滴は、元親が来る度に増えていく。 鳩を出せば、きっと飛び立ってしまうのだろう。 用意した鳩は、病気で固まってしまった。 「希代のマジシャンにもできないことがあるって言いふらしてやる」 「分かった分かった。次来る時に必ず連れてくるから」 「約束だよ」 出した小指にハンカチを被せ、指切りをせずにマジックで返す。 約束を反故に、してもいいか。 |