お題 | ナノ

悪戯半分


「今日はクラスの女の子と食べるわ」
「そ、そうか…」

かすがを誘い、二人で黙々と食べ続ける昼休み。
長政は慶次に連れられてどこかへ行ってしまった。

「どういう風の吹き回しだ」
「ちょっとした悪戯をしてみたかったの」

食べ終わって弁当箱を包み直して、二人の会話はやっと始まった。

「長政様、どんな反応しているのかしら」
「後で前田に聞いてみろ」
「そうね」

席に戻り、五限の準備をしていると、長政は慶次に引っ張られて教室に入ってきた。
ふらふらと市の前まで来て、どん、と目の前に手を出した。
怒られる、と思って肩をこわばらせたが、長政の声はとても優しかった。

「明日からは私と食べよう、市」

小指だけ立てて、恥ずかしそうに真っ赤な顔で。