お題 | ナノ

風の居場所


「竜巻ができて大変だった」

長政は砂まみれのジャージを叩き、苦々しい表情をした。
女子は体育館で授業をしていたので分からなかったが、一時期外が賑やかになったのはそのためだったのか。

「どのくらい?」
「小さかったが、グラウンドに砂のカーテンを作っていた」
「ふふ、見てみたかったわ」

聞けば竜巻はくるくるとグラウンド中を駆け巡ったらしい。

「その中でドッジボールをした、授業にならなかったからな」
「だからそんなにボロボロなのね」

竜巻に果敢に向かっていった名誉の負傷ではなく、視界不良のままボールがぶつかって転んだ不名誉な負傷。
長政は膝頭を押さえ、竜巻がなければ勝っていた、と悔しそうに呟いた。