お題 | ナノ

ふれあった指先


放課後、市がピアノを弾いていた。
確かメヌエットだ、高い音が響いている。

「上手だな」
「手が小さいから、少し大変なの」

ほら、と合わせた手のひらは、白く細く、一回りも小さい。
じんわりと伝わる熱に、長政の顔はもう真っ赤だ。

「市も長政様くらい大きければいいのに」
「い、市の手はそれで良い!」

市は驚いて、喜んで、またメヌエットを弾き出した。
長政様も弾いてみない?なんて聞きながら。