お題 | ナノ

曖昧クッキー


女子は調理実習、男子は金属加工、だなんて、ジェンダーな世の中にはそぐわない。
長政は理事長室に殴り込んでジェンダーを説く必要があるかどうか、迷っている。

「長政様に、作ったの」

小さな包みの中に、調理実習の結果が詰まっている。
金属くさい手で受け取り、甘い匂いを漂わせる市を見た。

「クッキーよ」

柔らかく微笑む市は、調理実習を心から楽しんでいるようだ。
やはり、ジェンダーを説くのは止めにしよう。